2018年12月25日

Special Signature to Save a Soul.GRIDMANのまとめ その2

前回の考察の続きです。

2010年代のヒーロー像とは?その解答は普遍的なヒーロー像

6話の時の考察で、グリッドマンは今の時代にどのようなヒーロー像を提示するのかと疑問に思っていたのですが、最終回は見事な解答をしてくれました。前にも述べたように、グリッドマンはただ怪獣を倒すヒーローではなく人の心を救うヒーローだと述べましたが、まんまその通りが今回の解答です。

21世紀に入り、宇野常寛の言葉を借りれば「個人の価値観のバトルロワイヤル」の時代になってしまいました。価値観が多様化されたけれども、その価値観同士がぶつかり合い、ゲームに勝ったものが生き残る殺伐とした時代になってしまいました。そんな潮流を受け、平成仮面ライダーがバトルを繰り広げている一方で、グリッドマンは価値観がいかに多様化しても変わらない普遍性を打ち出しました。


「小さな存在であっても、

苦しんでいる人を救う!

それがヒーロー」



グリッドマンはツツジ台とアカネを救いましたが、これは別に全世界の人間の命がかかっているわけではないんですよね。SSSS.GRIDMANはアカネという少女の小さな存在を救った小さな物語に過ぎない。けれど、どんなに小さな存在であっても助けてくれる。それがグリッドマンでした。

アンパンマンを作ったやなせたかしも同じようなことを述べています。やなせたかしは、第二次大戦の時、「正義のための戦い」だと周りに言われ、戦地へ向かいましたが日本は敗北を迎え、自分が信じていた正義はひっくり返りました。その経験を受け、やなせたかしは「献身と愛、すなわち目の前にいるおなかのすいた人に食べ物を与えることは変わらない正義だ」という信念の下、アンパンマンを作り出したというのは有名な話です。

その流れをグリッドマンは組んでいました。現に、特撮時代の倒すための必殺技はアレクシスには通じず、修復に使われていたフィクサービームが決め手になりましたからね。特撮時代は武史の組んだ破壊プログラムによるグリッドハイパービームでカーンデジファーを消滅させましたが、アレクシスは封印しました。

武史のカーンデジファーの否定=グリッドハイパービームだったのが、今作ではフィクサービームによる修復が決め手となっており、これはうまい対比構造でした。グリッドハイパービームは武史の「今までの自分の否定・乗り越え」=「成長」のメタファーだったのが、フィクサービームの「修復する力」=「他者を救う」という構造に変わってるんですね。

価値観が多様化し何が正義かはわからない。けれど、目の前の苦しんでいる人に手を差し伸べる。それはどこへ行っても変わらない正しいことだ。正義は簡単にひっくり返るが、空腹の人に食事を与えることは変わらない正義であると考えたやなせたかしと同じ発想です。

Special Signature to Save a Soul
1クールという短い期間でありながら、ここまで示唆に富んだ話を見れてとても幸せでした。それが自分が子供のころ見ていたヒーローがよもやこんな形で帰ってくるとは思いもしませんでした。

グリッドマンは特撮界隈では「早すぎた名作」と言われていますが、世間的には認知度が低いヒーローです。今から見れば「おっ!」と思う話もありますが、良くも悪くも昔の牧歌的な低予算の作品でした。認知度ではやっぱり仮面ライダーやウルトラマンには勝てませんしね。

しかし、そのヒーローが現代社会の現実認知をしながらも、肯定的な価値観を提示してくれた。そして、それが多数の人の心に届いたというのが素晴らしいです。多数の人の心に届いた証拠に、最終回放送時はTwitterのトレンドで1位、しかも世界では2位の座を得ています。これってすごいことですよ!

SSSS.GRIDMANは、毎回毎回ホームランかヒットを連発し、最後の最後で満塁場外ホームランを放ってコールド勝ちした勢いのアニメでしたねえ。こんな気分味合わされたの初めてです。

25年の時を経てこんな形で帰ってきてくれて本当に感謝です。制作してくださった雨宮監督、Triggerの皆さん本当にお疲れさまでした。感動と素敵なメッセージをありがとう!
posted by ブラック・マジシャン at 00:50| 兵庫 ☁| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月24日

Special Signature to Save a Soul.GRIDMANのまとめ その1

6話の放送が終わった段階で考察記事を書いたり、Twitterで感銘を受けた人のツイートを引用させて記事を書いたのですが、私が求めていた要素をすべて網羅し、きれいに消化したうえで今の時代にストンと入るメッセージを送ってくれたと思います。今回は最終回を見たうえでの考察をしようと思います。

SSSSの意味
まず、タイトルのSSSSですが、監督に言わせると意味がないということだったのですが、ばっちり最終回で出してきました。真のグリッドマンにアクセスフラッシュし、アクセスコードのGRIDMANを打ち込んだ際のモニターに表示されたのはSpecial Signature to Save a Soulでした。英語の先生していますから一瞬で意味が分かりました。

「魂(心)を救う特別な署名」


これがSSSSにこめられた意味だったんですね。これを見たとき、感動の嵐が襲いました。前の記事で「グリッドマンはただ怪獣を倒すヒーローではなく人の心を救い出すヒーローだ」と述べたのですが、この点をしっかり制作者は理解していました。ちなみにSoulは魂という訳もあるんですが、「精神、心」という意味もちゃんとあるんですよね。うまい。感無量その1

エヴァを超えた瞬間
アカネは自分の世界に引きこもりましたが、全然幸せそうではありませんでした。9話の感想でツイートを引用しながら感想を述べたのですが、アカネは自分を肯定してくれる人間たちを創造し、気に入らない人間は怪獣で消せる力を持っていながら全く満足できていませんでした。それは、自分の価値観に縛られ、窮屈な心の中(ゴミ袋だらけの部屋がそれを表している)にずっといるからだと述べました。

理想化された世界に閉じこもることができたアカネでしたが、その実自分の価値観に縛られ、幸せを感じられずにいたわけです。これは昨今の日常系のアニメや異世界転生ものの作品への明らかなアンチテーゼだと思います。

制作者はちゃんとその意図を持っていたようで、フィクサービームを照射されたアカネの前に、ドアができます。

アカネは血塗られた手(=取り返しのつかないことをしたことの象徴)でそのドアノブを握っていますが、開けて外に出ることができずにいました。そこに、声をかけたのがグリッドマン同盟の六花・内海・裕太の3人だったのです。この時のセリフをそのまま引用しようと思います。


六花「大丈夫、アカネは一人じゃないから・・・。」

内海「みんな万能じゃないから、他人を必要とするんだ。新条さんが誰かを必要とすれば、この町だってきっと広がっていく!」

裕太「この町だけじゃない。きっと、新条さんの世界も!」

アカネ「私に・・・!広い世界なんて無理だよおお!」

六花「だから私たちを頼ってほしい!信じてほしい!!そのための関係だから・・・。」

アカネ「私との関係・・・?みんな私の・・・私の・・・友達!ここは私が作った世界だから、この世界に私はいちゃいけないんだ!自分の意志で帰らないといけないんだ!!私の・・・場所に!!」(ドアを自分の意志で開ける)

このシーンを見るたびに私は泣いてしまいます。本当です。すごいカタルシスです。このシーンが、この作品の伝えたいメッセージだと確信しています。

「人間はだれしも不完全な存在だからこそ、他者を求める。他者とつながることで自分の世界も広がっていくんだ。しかし、広い世界を自分一人で生きていくことは難しい。だからこそ、他者を信じ、関係を作っていくのだ」

他者とのつながりの葛藤を描き、「他人を傷つけながらも現実を生きていかなければならないんだ」と伝えたのがエヴァンゲリオンのメッセージで、今でもその葛藤に庵野監督は苦しんでいるようですが、そのメッセージをグリッドマンは超えていったと思います。他人と共存することで自分の世界も広がる。他者を大切にし、信じることが大切なんだと伝えているのです。

最初、安易な人のつながりでアカネを救うのではないかと心配していたのですが、その心配は杞憂でした。グリッドマン同盟は仲たがいしながらも、仲直りを繰り返し、友情を深めていきました。そして、自分の世界に閉じこもることの限界と、人間に拒絶される現実認知も描いたうえで、このセリフが述べられたからこそ、この発言は「安易な人のつながり」ではなくなり、すとんとメッセージとして素直に受け止めることができました。

そして、特筆すべきはこのメッセージにたどり着くのにかかった時間はたったの12話分です。普通のアニメだったら1年かけても到達できない域にグリッドマンは達しているのです。これはすごいことですよ。

「平成」を総括したSSSS.GRIDMAN
1クールでこの域に達する芸当ができたのは、今までのロボットアニメと特撮があったからこそだと思います。Triggerはもともとエヴァを作ったガイナックスから派生した会社なのでエヴァの影響はやっぱり大きいんだと思います。直後のスタッフのラジオ放送を聞いたのですが、雨宮監督は16年前からこの企画をやってみたかったとのことです。

雨宮監督がフィギュア王でのインタビューで告白しているように、90年代のロボットアニメのバンクシーンのノリを引き継いでいます。そして、物語の後半になると90年代ロボットアニメを破壊したエヴァみたいな動きをするナナシBが90年代合体ロボットの象徴たるフルパワーグリッドマンを打ち破ってしまいます。これは90年代のロボットアニメの潮流をうまく表現していると思います。

また、日常の描写は徹底的にリアリティを追及していましたが、これは日常系のアニメの流れを意識しています。「終わらない日常」を目的もなく楽しく消費し続けるというのが日常系アニメですが、そのむなしさはアカネを通じて描写されていますよね。

そして、ツツジ台もコンピューターワールド上の世界であることが作品でほのめかされていますけど、アカネはこの世界にやってきているため、異世界転生ものの流れも汲んでいるといえます。

つまり、SSSS.GRIDMANは平成のサブカルチャーの事象をすべて含んでいるんですよね。そして、その限界をアカネを通じて描き、そして「現実に戻りましょう」とメッセージを送っているわけです。これが鼻につく人もいるのかもしれませんが、エヴァのように「気持ち悪い」と突き放したものではなく、温かく送り出そうとしているのもわかります。

「アカネとずっと一緒にいたい」この願いが叶いませんように 本当の友達ならば・・・
そのことがわかるのが、戦いの後のアカネと六花とのやり取りです。六花はアカネのやってきたことをすべて受け入れました。この時のアカネは、横に並びながらですが六花の顔を見ています。ここでやっと六花と向き合うことができたわけなんですよね。今までスタッフもアカネは六花と向き合っていない(文字通り体も向き合っていなかった)と言っていたわけですが、やっと彼女と向き合えた。

そしてパスケースを渡され、「ずっと一緒にいたいという願いが叶いませんように」と言われてアカネは現実世界へと戻っていきます。このセリフは「アカネのことは友達と思っている。けれど、あなたにはあなたの世界があるのだから、そこに戻りなさい。それでも私たちはいつも一緒だよ」と言っているわけですよね。アカネが本当の友達だから、言えるセリフだと思います。

グリッドマン同盟のやり取りを見ていると、友達地獄に苦しむ人たちへのメッセージもあると思います。自分の本心を打ち明けてもいいんだ。関係が崩れてしまってももう一度関係を作り直せばいい。友達だと思っているなら、その人を信じよう。

そんなメッセージも私は受け取ることができました。内海の「その時はまた友達になればいい」はすごく響きますよね。

長くなったので続きはその2で。
posted by ブラック・マジシャン at 23:35| 兵庫 ☁| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

圧倒的感動!感涙!感謝!!SSSS.GRIDMAN感想その11

文句なし!感動の嵐!SSSS.GRIDMANが感動の最終回を迎えました。何度もリピートで見たり聞いたりしたんですが、毎回泣きます。本当です。本当に素晴らしいアニメです。当時世代としては圧倒的な感謝、感激、感無量!

まず、怪獣化したアカネはウルトラマンティガのガタノゾーアを思わせる怪獣に変貌しました。鳴き声がアカネの悲鳴そのもの、またデザインもまがまがしさと同時に自分の殻に閉じこもるアカネそのものを表すものになっていました。しかも、特撮版最終回で、カーンデジファーが現実世界に進出しようとした際に使った触手もデザインに組み込まれています。本当にうまい。

この怪獣の相手をしたのが、アカネが生み出した怪獣であるアンチです。アンチは怪獣の中に取り込まれているアカネを救い出すため、内部に収納された顔を引っ張り出し、内部に突入。内部で過去自分が殺めた人間と向き合わされ苦しむアカネをその手で救い出します。これも3話でアカネがアンチの上で笑っていたシーンを踏襲していました。自身の創作物に救い出されるというのがなかなかな構造ですね。

アカネが救われた瞬間、アレクシスは容赦なくアンチの胸を串刺しにしてしまいます。怪獣から落下するアンチ。呆然とするアカネを取り込み自身も巨大化します。

一方、グリッドマン同盟サイドは六花をスカイヴィッターで回収し、内海も病室から連れ出します。自分は何もできないと愕然とする内海でしたが、立花の言葉により自分が裕太の友達であること、その友達の裕太が来てほしいと言っていることを受け、行動を共にすることを決意します。喧嘩しながら関係を作ってきた彼らだからこそできる描写ですね。

ジャンクの前に戻った裕太のプライマルアクセプターが、特撮版のアクセプターに変化し、新世紀中学生たちにもアクセプターが与えられます。アクセスフラッシュの叫び方が、特撮版を踏襲したものに変化し、さらに死にかけたアンチもアクセスフラッシュし全員でグリッドマンに変身!その姿は特撮版の我々がよく知るグリッドマンでした。

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この時、原曲の『夢のヒーロー』が流され、当時世代である私は狂気乱舞しました。デザインを今風にリファインしたが、最後はやっぱりこの姿でないとねという制作者側の意図が読み取れますし、このアニメが特撮グリッドマンの正統続編であることを印象付けました。素晴らしい。

アレクシスとの戦いは、特撮時代に使用したすべての必殺技を使用し立ち向かいます。しかし、アレクシスは不死身の体を持つ存在で、自らの虚無感を埋め合わせるためにアカネの情動を利用していたことを告白します。無限の再生力の前に苦戦するグリッドマン!

手に汗握る攻防でした。しかも、この戦闘はすべて手描き!さらに特撮時代では技術的に無理だった「上下のない世界観での戦い」を意識した動きになっています。コラムでも再現不可能です!手描きのアニメだからできるんですよね。

パサルートを開き、別の世界に逃げようとするアレクシスはグリッドマンにとどめの一撃を加えます。グリッドビームで応戦したグリッドマンですが、グリッドビームはかき消され、グリッドマンは吹き飛ばされてしまいます。しかし、グリッドマンからあふれた粒子がコンピューターワールドを修復する姿を見たとき、グリッドマンはフィクサービームを放ちました。
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この瞬間、アレクシスと同時に私は「フィクサービームだとおおおおお!?」とテレビの前で叫んでしまいました。それくらい衝撃的でした。フィクサービームは、特撮版で怪獣を倒した後に使うコンピューターワールドを修復する技なんですが、裏設定で人間の心も直せるという能力も持っていたのです。それをアカネに照射し、アカネの心を治そうとしたのですね。

そして、このシーンのグリッドマン同盟とアカネのやり取りが泣ける。これは別の記事で考察をしますけど、このシーンを見るたびに涙腺が崩壊してしまいます。というか、このシーンはエヴァンゲリオンへの明らかな解答なんですよね。エヴァが乗り越えられなかったテーマをこのシーンは乗り越えていった。そう私は思っています。

フィクサービームを受けたアカネは心を開き、ツツジ台が元通りに修復、しかも地球規模の世界に世界が広がりました。アレクシスは力を失い、グリッドマンの拳による一撃で敗北、封印されてしまうのでした。

救われたアカネは六花に自分の犯してきたことを懺悔します。この時のアカネが本当の彼女自身だったと思うのです。弱くてずるい自分を六花は受け入れます。そしてアカネのために購入していたパスケースを彼女に渡す六花。どこにいても一緒だというのが意図だとアカネに伝えます。

そしてアカネに最後の願い「『アカネとずっと一緒にいたい』この願いが叶いませんように」と伝えます。その言葉を聞いたアカネはまとめた荷物とエアコン(笑)ごと消滅するのでした。この言い方は本当の友達だからこそ、言えるセリフだと思います。「本当は一緒にいたいんだけど、もうこの世界に迷い込んじゃだめだよ。離れていても一緒だよ」というのが意図ですよね。

そして、グリッドマンとの別れも描かれました。この時、グリッドマンたちがいた背景は、グリッドマンが変身する際にいるジャンクのなかです。その中でグリッドマンは特撮版のセリフを踏襲した別れのセリフを伝えます。そして「本当に信頼できる友達を持つことの大切さを『改めて』思い知った」と特撮時代のことも踏襲したセリフを言ってくれます。ああ、このシーンも泣けるんですよね。

1話と同じ情景が映し出され、分裂した星は再び一つになり、特撮最終回と同じくハイパーワールドの情景の一部が映し出されてグリッドマンたちは帰っていきました。ツツジ台はアカネを失いましたが存続し続け、裕太の両親も帰ってきます。アレクシスに刺されたアンチはアノシラスに救われていました。初代のアノシラスも背景にいるのが素晴らしい。アンチの包帯が取れるとその下には青くなった瞳が。青と赤の瞳を持つアンチは、怪獣と人間の両方を併せ持つ存在としてアカネの作ったツツジ台を守ってくれるでしょう。そんなことを思わせるシーンでした。

そして、最終回のサブタイトルの直後に実写の映像が差し込まれます。そこには見覚えのあるパスケースとベッドから起き上がる女の子の姿が!このシーンを見た私は『トリガーめ、やりやがった!!』と絶叫しました。サブタイトルの「覚醒」の意味がここで回収された上に、アカネが現実世界に帰還したことを示しています。そして、天井を見上げたアカネの首の角度は、OPのグリッドマンと同じ角度。ここでSSSS.GRIDMANのタイトルがかぶさるという憎い演出!!

こりゃすごい。脱帽しました。本当に「Triggerめ、やりやがった」とずっと笑っていましたよ。これは元が特撮だったグリッドマンだからこそできる秀逸なラストです。いやー恐れ入りました。

別記事では、この作品のまとめをやろうと思います。私が求めていたテーマをきれいに描き切り、そして希望の持てるラストを提示してくれました。この作品に出会えて本当に良かった!雨宮監督を含め、制作者の皆さんには圧倒的な感謝です。
posted by ブラック・マジシャン at 22:14| 兵庫 ☁| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月16日

決戦!大怪獣総進撃 SSSS.GRIDMAN感想その10

いよいよ物語は佳境に差し掛かりました。今回も面白くて話に引き込まれました。

今回は前回の裕太が刺されたシーンからスタート。アカネのカッターが血まみれになる程ブスリと刺された裕太。アカネはジャンクもついでに壊してそん場から去って行きました。それを受けてOPもカッターが血まみれな状態に差し替え。さらにアンチの場面がグリッドナイトに差し替えられています。

前回でベノラが破壊されたことにより、町中はリセットされることはなく被害はそのまま。大災害級のレベルの自体が発生しています。電話も水道も使えない状態になってしまいました。刺された裕太は六花ママの車で病院へ。急所は外れているにも関わらず意識不明のままです。

アレクシスは執拗にアカネに怪獣を作らせようとします。が、アカネは怪獣を作れないと拒否、アレクシスは今までの怪獣を復活させ再び街で暴れさせます。

そこに現れたのがグリッドナイトに覚醒したアンチでした。アンチは六花に助けられた恩義から怪獣たちと戦います。ポジション的にはグリッドマンシグマのそれですね。アクセプターも右腕にあるし。

しかし数に押されてしまい徐々に劣勢に立たされます。自身に作り出したヂリバーとメカグールギラスに苦戦するアンチ。アカネのセリフと被せてドリルで攻撃されるのが憎い演出です。

アンチが戦ってる頃、裕太が目覚めないことを怪しんだ新世紀中学生たちは裕太がいるときにジャンクが点いていることに気づき、裕太とジャンクが繋がってることに気づきました。そこで彼らはジャンクを修理することに。ジャンクの修理場面は特撮版で直人たちがジャンクを組み立てるシーンと被せています。しかも、グラフィックボードまで特撮版のまま。起動時はSSSS.の表示が現れました。タイトルの伏線がここで回収されたわけです。

ジャンクが起動すると裕太も意識を取り戻しました。しかもここで記憶が戻り、実は自分が裕太に宿ったグリッドマンだったということが判明。裕太は記憶喪失ではなかったわけですね。グリッドマンがなぜ裕太を選んだかは美味しいところで会話が切れてしまい、次週に持ち越し。これはアニメ内で完結して欲しいですね。

登場人物たちのドラマは、全員が自分を見つめる作業をしています。今まではあくまで他者との人間関係に悩んでいた彼らがようやく自分の立ち位置を見つけ出しました。裕太は自分が何者か認識し、内海はアンチと交流することで自分の中の矛盾に気づきました。

六花に関しては自分が作られた存在であってもアカネの友達でいたいという気持ちをアカネに伝えます。これが六花のたどり着いた答えなのです。

面白いのがここに至っても尚、一貫してアカネは六花と向き合っていません。メガミマガジンのインタビューで述べられていたのですが、アカネは六花が特別という割に精神的にも身体的にも全く向き合っていないのです。画面上でも彼女らの会話は文字通り向き合っていません。アカネはバスの中で自分から六花の後ろの座席に移動しているし今回も横並びで座り、顔を合わせていないのですね。

アカネが六花の言葉から心を開きかけたときアレクシスが割って入ります。怪獣を作らなくなったアカネ自身を何と怪獣に変えてしまいます。ここで11話が終わってしまったので来週の最終回に持ち越しです。本当に続きがきになるところで終わりましたね。

残された謎は、アカネがどうして今の世界を作り上げたのか、裕太がなぜグリッドマンに選ばれたのか、アレクシスの正体は何かというのが謎になっています。この辺をどう処理してアレクシスを倒しアカネの孤独を解放するのかがポイントになっていますね。

物語としては短いのによく練られていてかつうまいです。承認を求めていて汲々としていた登場人物たちが自分と向き合い答えを出して行く。このプロセスが丁寧に描かれていて本当に感動しました。他人を受け入れず、他者に攻撃的なアカネと、喧嘩しながら互いを認め合って行くグリッドマン同盟の対比構造もうまいと思います。この事件を通し、彼ら彼女らはアイデンティティを確立させて行くんでしょうね。

どのように物語を終結させるか本当に楽しみなんですが、今週土曜日は出張に出ていてグリッドマン見れません。ブログ更新も翌週になってしまいます。あー悲しい。
posted by ブラック・マジシャン at 10:07| 兵庫 ☀| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月09日

新生!グリッドナイト!!SSSS.GRIDMAN感想9

友達のHUYU君にLINEメールで「泡吹いて倒れるほど面白かった(10回目)」というメールを送るくらい面白かった10話。本当に10回分毎回毎回驚きだらけで本当に面白い。TRIGGERと雨宮監督の本気を見ました。

今回は、エヴァンゲリオンのオマージュもふんだんにやりながら、アカネの内面が崩壊しつつあることを描いていました。最初に出現した怪獣 ナナシは、本当にあっけなくフルパワーグリッドマンに倒されましたが、その中から出てきた怪獣が本当にアカネの心情を表す恐ろしい怪獣でした。

アカネがいつも怪獣を作っているカッターナイフですが、あれには元ネタがあって特撮版33話「もう一人の武史」で武史が自分のドッペルゲンガーのタケオを殺そうとしたときに使った凶器なんですね。この時は、タケオが幼少期の武史に変わってしまい未遂に終わってしまいました。

そのカッターナイフをモチーフにした話が10話です。まずカインロッグが劇中内で「毒煙怪獣」と呼ばれた風景の怪獣の首を次々と落としていき、破壊していきました。前回で物心ともに追い詰められたアカネの「このどうにもならない世界を破壊したい」という願望がそのまま表れているんですね。

自分が考えた理想の世界も窮屈そうと裕太に看破されています。これは私の前回の記事と同じ考え方です。理想の世界なのに窮屈。承認欲求と自意識に縛られたアカネの苦しい心情を表していると思います。

そして、中の人ことカインロッグは特撮の動きにこだわった本作の縛りを一切無視し、縦横無尽の予測のつかない動きでフルパワーグリッドマンすら圧倒します。動きが本当にアニメもしくはCGでないと表現できない動きで、度肝を抜かれました。戦闘シーンはこれまで特撮とロボットアニメのお約束を守っていたのに、ここにきて完全無視の敵を出す。それが最強形態のグリッドマンも圧倒するというのが絶望感すら感じました。

オマージュもしっかりしています。90年代前半のロボットアニメのお約束を、打破したのが「エヴァンゲリオン」でしたが、レーザーの打ち方やフルパワーグリッドマンの装甲をはいでいく様はまさしくエヴァの暴走状態をほうふつとさせます。この辺はロボットアニメの歴史を追っている感すらあります。

そして、ここにきてアンチがグリッドマンを助け、ついに自身がグリッドマン二代目、「グリッドナイト」に転生しました。いやー、この流れは本当に王道かつ反則。グリッドナイト自体、企画段階で終わった没ネタなんですけど、それを拾ってくるとは恐れ入りました。2月に来るグリッドマンシグマのコラムではグリッドナイトについても言及しないとだめですね。武史の話や最終話は本当にシグマのコラムでやりたいです。

そして、まだまだ衝撃の展開が続きます。アカネがジャンクの秘密を知ってしまい、裕太を持っている愛用のカッターナイフで刺してしまいます。特撮版では未遂で終わった人殺しを同じカッターでやってしまうというのが特撮世代としては泡吹いて倒れるレベルです。33話は武史のなかにも良心があって、最後に救われるという展開だったのですけど、今回のアカネは容赦なく刺しました。

1990年代後半は猟奇的な少年犯罪が取りざたされた時期だったんですけど、その時代の闇を象徴しているかのようです。武史の時はぎりぎり踏みとどまっていたものが、90年代後半になってタガが外れた。そう考えると、これも時代の変化ですよね。

確実にグリッドマンは「平成」という時代をまとめようとしている気がします。90年代ロボットアニメ・特撮、エヴァ、00年代のセカイ系、日常系すべての要素が詰め込まれてるんですよね。そのうえで、「理想化された日常」の虚無感を描いてる。

脚本家の長谷川氏いわく、ラストまでノンストップとのことですが来週も見逃せません。いやー、本当にグリッドマン面白いわ。
posted by ブラック・マジシャン at 19:30| 兵庫 🌁| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月07日

ULTRA-ACTからスーパーミニプラへ!スーパーミニプラ サンダーグリッドマン登場!!

ついにスーパーミニプラ グリッドマンシリーズ第3弾のスーパーミニプラ サンダーグリッドマンのコラムの登場です。

このコラムでは、前回と同じくフィギュア王のインタビューに言及しながらサンダーグリッドマンの企画起源に迫り、DXからスーパーミニプラに至るまでの歴史を振り返ってみました。もちろん合体バンクもバッチリ再現しています。

このサンダーグリッドマンのコラムでスーパーミニプラ グリッドマンシリーズの第1期が執筆完了。第2期は2月発売予定のダイナドラゴン&グリッドマンシグマに移る予定です。こちらも分量的に3本にした方が良さそうですね。

アニメ版の製品も控えてますし、グリッドマンはまだまだ盛り上がりそうです。


というわけでスーパーミニプラ サンダーグリッドマンのコラムをお楽しみください。

合体電神!ゴッドゼノン!!

グリッドマンに引き続き、スーパーミニプラ ゴッドゼノンの登場です。

こちらは、グリッドマン以外のアシストウェポンを合体させた形態です。アシストウェポンの詳細やゴッドゼノンへの合体ギミックをついに詳細に伝えることができるようになりました。これはACT時代からずっとやりたかったことだったのでうれしいです。

また、フィギュア王No249に言及しながら開発者たちがどのように本商品を開発したかも掲載しています。一部破損が怖いところもあるということで、そのあたりのフォローも言及しています。

当コラムシリーズは速報性がない分、読んでくれた人に「なるほど」とか「お得だったな」と思ってもらえるよう心掛けて書いています。ぜひ読んでください。

posted by ブラック・マジシャン at 02:18| 兵庫 ☔| Comment(0) | ホビー&コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月06日

アクセスコードはSMP GRIDMAN

ついにスーパーミニプラ グリッドマンのコラムの登場です。当初は1本のコラムで書く予定だったのですが、あまりに密度が濃いため3分割することにしました。今回はその第1弾である、グリッドマンの紹介です。

グリッドマン自体はULTRA-ACTで詳細に紹介しているのですが、アニメ版につながるということで、技の再現に力を入れました。可動範囲の広さはこの技再現で紹介する形にしています。

また、今作よりバンクシーンを先に別のページで作っておくという手法を取り入れました。私のコラムは変形合体シーンを見せるために画像の点数が多くなり、それゆえ執筆が遅くなってしまいます。今回は先に紹介したいシーンを作っておき、コピペで貼り付けられるようにすることで作業効率を上げました。

というわけで、コラムシリーズ本格的に再始動の力作、スーパーミニプラ グリッドマンのコラムをお楽しみください。

posted by ブラック・マジシャン at 22:06| 兵庫 ☔| Comment(0) | ホビー&コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月03日

力がだめなら精神で!SSSS.GRIDMAN感想その8

前回のフルパワーグリッドマンに完膚なきまでに叩きのめされてしまったアカネは、ハードウェアでの勝負ではなくソフトウェア、つまり精神攻めを敢行してきました。「夢・想」というタイトルは、裕太たち3人が夢を見ているという状況と、アカネが自分の願望を投影した夢を彼らに見せているという二重構造のサブタイトルでした。

そして、今回はドラマの演出が神がかっていました。今日、Twitterのツイートを見ていたらいくつか深い考察をしている方がいらしたのでご紹介します。

まず、彼らの精神と画面の風景がリンクしているという考察がこのツイート。



このツイートを見た後、遮断機に注目しながら9話を見直すとなんとびっくり、遮断機の場面ごとにそれぞれの夢に切り替わっていくのですね。この遮断機で場面転換の役割をしつつ、裕太・六花・内海の3人が「断絶」されていることを示している。しかも警告音がなっていることから彼ら3人が危険状態にあるということを暗に示しているんですね。この演出はすごい。

そして、場面ごとの天気もそれぞれのキャラクターの心境を映し出しています。特に、夢攻撃を打ち破られたアカネのシーンは、彼女の悲しみを象徴するかのように雨が降っています。だんだん曇っていくのが心憎い演出ですね。そしてこの雨の演出は3話のアカネの勝利シーンとは好対照です。あの時は、雨が降ったのが止んでいきアカネの晴れ晴れとした勝利の心境を表現していましたが、今回はその反対にどんどんアカネが追い込まれていきます。

このように、背景や場面を使ってそれぞれの心境を視覚的に表現しているのはうまいと思いました。3話と対照的であることには気づいていたのですけど、このあたりに自力で気づければなあ・・・。

そして、ゴッドゼノンの後継機、パワードゼノンが登場!ちょうどスーパーミニプラでゴッドゼノンを作ったところだったのでこの登場にはたぎりました。必殺技のジャンボセイバースラッシュは、特撮時代、ゴッドゼノンのインスピレーションを与えたジャンボセイバーから来ていますね。この辺りも憎い演出だ。

もう一つ感銘を受けたツイートがこちら。アカネの状態について深く指摘しています。



この考察には膝を打ちました。私もアカネは現代人の承認欲求の闇を描いているキャラクターだとブログで述べたことがあるのですが、承認欲求を自在に満たせるようになったとした後にやってくるディストピアなんですよね。都合の良い人間を配置し、承認される世界を作っても今度は自分の心や価値観に縛られてしまう。アカネがみんなにクラスでもカースト1位で、かつ皆に嫌われない設定にしているはずなのに満たされていない理由がここにあるわけですよね。

リア充なんて幸せじゃない。

リア充の向こう側では、

自分の心や価値観に縛られ、

押しつぶされてしまう。


なんという深いメッセージなのでしょう!

そしてそのメッセージに気づかせてくれたツイートを同じ方がされているのでご紹介します。



アカネを通じて私は「友達地獄」(周囲になじむために本来の自分を表現できないという苦しみ)を表現していると考えています。話が進むにつれて、彼女はこの友達地獄で負けてしまったか、押しつぶされてしまったのではないかと。その「本来の自分」を受け入れてくれる恋人=裕太、同性の友達=六花、異性の友達=内海に夢の中でさえも拒絶されてしまった。この痛手は相当なもんだと思います。

はっきり言ってこの追い込み方はやばい。前回で怪獣オタクとしての矜持をコテコテなグレート合体ロボットヒーロー(フルパワーグリッドマン)に完膚なきまでに叩きのめされ、今回は人間としても拒絶されるという恐ろしい追い込み方。これどーすんの?グリッドマン助けることができるの?どうにもならない絶望を描いてぶん投げるのか、安易な人のつながりで救うのか、想像がつきません。

思いもがけない解答が用意されているとしたら、ウルトラCですね。円谷プロなだけに。過去のグリッドマンは武史の心を救いましたが、現代人の心の闇を抱えたアカネを救えるのでしょうか?今後に期待!
posted by ブラック・マジシャン at 21:40| 兵庫 ☔| Comment(0) | アニメ・漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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