2006年05月14日

トッププレイヤーのあるべき姿

今日は、楽しみにしていたEOJのシールド戦に出場しました。とても楽しかったんですが、とてもがっかりして、それ以上に感動したことがありました。感動が醒めないうちに、早い目に記事にしてしまいます。

私はトップがミドル・ボトムを引っ張れていないのではと、なつきさんとコメント欄で討論しました。トッププレイヤーのあるべき姿を漫画にあると言いましたが、そんなの幻想だなんていう人もいるでしょう。だからそういった人に対し、私は反論します。

大会の合間に、いつも来ているシドニー代表選手がカードを整理していたんですが、彼がパックからあけていたノーマルカードをぐちゃぐちゃにしていたんです。で、「このカードいらないから、リサイクルのためにバケツに入れるよ」(この国では要らない紙をリサイクルするためのゴミ箱があるのです)といってカードを捨てていたんです。でも、それはリサイクル用のバケツではありませんでした。いけっち店長がいたら、間違いなく怒っていたでしょう。まだ、折れを直せるやつがあったので、私が折れを直してもらっていきました。

私はがっかりしました。昨日おとといと、ものすごい量で記事を書いた後だったのでなおさら。結局どこのトッププレイヤーも同じなのかと思っていました。しかし、ちょっと考えました。ここで終わっていいのかな。もしかしたら、何かあるかもしれない。

案の定ありました。彼は、今日4戦中2勝2敗だったのです。彼は常にプレイングを大事にしていましたから、たぶん納得のいかないプレイングをし、負けたんでしょう。

いけっち店長のように怒れない私は別の手段を考えました。彼はいつもなら、とてもフレンドリーだしいい人だったのでなおさら怒れなかった。しかし、怒らないと信頼できる友達をなくしてしまう。
彼はここではもう大人です。直接、怒らないで彼に「君は間違っているよ」というために、使えるノーマルカードと要らないノーマルカードに分けていた彼にとっさにこういいました。

"If you throw away your needless cards, would you mind giving it to me?"(要らないカードを捨てるんだったら、僕にくれないかい?)

彼は分け終わっていたのでその折れていないカード(6枚くらい)を私にくれました。そして、聞き取れなかった部分もあったんですが、彼ははっきりと"I was annoyed."(イラついていた)といっていました。たぶん、私の「含意」を汲み取ってくれたんだと思います。
とっさにこの行動が取れてよかったなと思いました。後から考えると、わざわざ「要らないカードを捨てるなら」と言って裏の意味を出せたのは、語用論で含意(言葉の裏にある別の意味)の勉強をしていたからでしょう。成績は良でしたが、助かりました。

しかしながらその後も、まだわかってくれたのかなあと半信半疑でした。ちょっと課題があるので今日は早めにおいとましようと思い、彼に挨拶して帰りました。いつもどおり、がっちり向こうが握手を求めて、来週また会おうって言ってくれました。

帰りにお昼どうしようかなあと思っていながら町を歩いていると、Round3でデュエルした10歳くらいの子とその友達が「Subwayでお昼一緒に食べようよ」と言ってきました。ちょうどおなかがすいていたので、一緒にご飯を食べました。彼らとっても親切で、これはおいしい、こうやって注文するんだよって私にどんどん教えてくれたんです。

ご飯を食べながら、日本の話をしたりして楽しんでいました。代表選手のことが気になったので、彼らにこんな質問をしてみました。

「代表選手の人のこと、尊敬してる?どう思う?僕はとってもいい人で、尊敬できると思うんだけど」

私は、このときモヤモヤを感じながら質問しました。しかしながら、彼らははっきりとこういいました。"He is pretty good."と。理由を聞くまでもなく、どんどん理由をくっつけていきました。「困っていたら助けてくれる」「誰とでもゲームしてくれる」「彼のデッキ構築はすごい」「彼のプレイングはすごい。こっちの手札が1枚か2枚なのに、彼の手札はいっつも5枚あるんだ」などなど。

私はこうも言いました。

「そうなんだ。日本の強い人はたまに、負けた人を馬鹿にする人もいるんだけど」

彼らはなんと言ったと思います?「彼はそんな事しないよ。他の人もそうだし、僕らも彼のようになりたい」

私、このとき感動で泣きそうになりました。こんな感じになったのは初めてです。

そして彼らは私にこういってくれました。「またゲームしようよ。今度、地方大会もあるしさ。 もし、カードが足りなかったら僕らのカード貸してあげるよ」

私、このとき胸がいっぱいになりました。大人ですから、子供の前で泣くのは格好悪いので心の中で泣いていました。彼はすごいです。見事にボトムプレイヤーを引っ張っています。彼自身が気づいているかどうかは、わかりませんが。実際、子供らのデッキは強いです。その子らは同じ年代の間でも強いほうで、私の表遊戯デッキを帝でボッコボッコにした子もいたんですが、弱いからと言って馬鹿にし、その子や私を仲間はずれにはしていませんでした。むしろ、仲良くしてくれていた。トーナメント志向のコンセプトなのは、上の年代から学び取ってるんだと思います。

そして、彼らにもう一言言いました。「君らはこのゲームがすきかい?日本人のプレイヤーの何人かは、どこかでこのゲームを馬鹿にしてるんだ。たぶん、周りの人にやってると知れたら笑われるからだろうけど・・・。」

彼らは「親はたまに、怒ることはあるけど、別にいいじゃん。代表選手は格好いいし、ゲームが楽しいし。このゲーム好きだよ」って。

あー、もうなんていい子らなんでしょう。人間が好きになりました。日本人プレイヤーも見習ってほしいですね。

おそらくですが、これがこの地方でこのゲームが人気な理由なんでしょう。実際、カードは高いですが大会に出るために月に大体35ドルしか使っていないそうです。どうやってカードを集めているかというと、パックで当てたカードを売ったり、トレードしたりで入手しているそうです。個人売買しているのに、何も起きないのはみんなが純粋にゲームを楽しみたいからなんでしょうね。

はっきり言って、今日の出来事は感動しました。最初にがっかりした分なおさら。確かに、彼がカードを捨てたのは悪い事実です。しかし、良い所がそれ以上にいっぱいありました。人間一度の失敗では、その人の人間性は判断できないと思います。それは日本人にだって言えるはず。おそらく、彼は自分の失敗に気づいています。来週彼に会ったら、彼をほめたいですね。もし、いらんカードがあったら捨てようとせずに、店なり他の人にあげるなりすべきと提案してみます。彼なら、わかってくれると思いますから。

これでわかったでしょう?ゲームを根付かせるのは確かに企業の責任でもあります。しかし、我々にも関係はあるのです!
posted by ブラック・マジシャン at 22:21| シドニー | Comment(2) | TrackBack(2) | カードゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この前お便りを頂いた、とある会社の社長です。
(ブラックマジシャンさんには、お解かりいただけるでしょう。)
良いお話でした・・・また、お便りくださいね。
Posted by オーストラリアの同士へ at 2006年06月06日 03:20
理想みたいなお話ですが、日本でもこのようなすばらしい環境をぜひ作って生きたいですね。
Posted by ブラック・マジシャン at 2006年06月07日 00:28
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

雨の中で
Excerpt: せっかくの週末なのに雨と言うのも鬱陶しいですね。 かといって家の中でじっとしてるのももったいないので 今日は贅沢な時間の使い方をしてきました。 最近会ってない友人を誘って、ネットカフェで朝一から5時..
Weblog: 気まぐれ生活協同組合
Tracked: 2006-05-13 22:35

ブラック・マジシャンさんの記事を考える in京都
Excerpt: とある人間のマニア部屋 in Australia: トッププレイヤーのあるべき姿 とりあえず、ブラック・マジシャンさんがオーストラリアに行かれてからの記事と、それにとラバしてあった記事は全部読み..
Weblog: なおくんのTCG研究室
Tracked: 2006-05-14 07:20
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。